残留応力(residual stress)とは、外部から金属に力を加えたときに起こる反発が、力を取り除いたあとも多少残ることを指します。
残留応力は大きく分けると「引張応力(引っ張る方向の力)」と「圧縮応力(圧縮する方向の力)」の2種類です。残留応力は溶射以外にも、熱加工や溶接、鋳造などさまざまな工業過程で起こる現象で、ひずみや亀裂の原因にもあります。
溶射においては、材料を熱で融解され液状になった粒子が高速で飛行し、素材にぶつかることで皮膜を形成します。素材に噴射される粒子は高温ですが、皮膜形成と同時に急速に冷却されて元の体積よりも小さくなります。このとき、周囲を強烈に引張応力がかかるのです。一方で、粒子が素材と衝突するときも力が発生します。素材に衝突エネルギーは圧縮応力で、素材に蓄積されていきます。
素材の表面は圧縮する力がかかっているほうが、皮膜が密着して剥がれにくい状態です。反対に引っ張る力がかかっていると、割れやすくなります。
材料によって融解に必要な温度は異なり、溶射方式によっても粒子の温度や噴射速度は変わってきます。このため、残留応力の大きさも材料と溶射方式、素材の材質によって異なります。残留応力の影響を最小限にするために、素材を事前に加熱したり遮熱コーティングしたりする場合もあります。
ここでは、取り扱っている溶射法や対応事例などから、おすすめの溶射加工メーカー3社を紹介しています。