表面改質の種類はいくつかありますが、代表的なものは熱処理・コーティング・機械処理の3つです。それぞれについて方法をまとめているので、特徴をチェックしましょう。
熱処理とは、適当な温度に加熱して冷却する表面改質法です。適する材料は鉄鋼。スチールに熱処理を与えることで、機械的性質や耐摩耗性が付加され個々の持っている特性が引き出されます。
熱処理には、処理物全体を加熱・冷却して所定の特性を出すものと、表面にのみ処理を施す表面熱処理があります。
熱処理には、表面焼入れ・浸炭処理・窒化処理・拡散浸透処理などの方法があります。熱処理の特徴は、材料の組成は変化しないで表面のみの組織が変わり特性が改善されること。
例えば表面焼入れは、表面の組成はまったく変わりませんが、急速加熱冷却された表面のみ硬化して、耐摩耗性が大幅に向上します。熱処理は耐摩耗性の他にも耐疲労性、摺動特性に優れた効果を発揮します。
コーティングは種類が多く、材料により適する方法を選びやすい表面処理。湿式法・乾式法・塗布法と3つの方法があります。湿式法は電気めっき・化学めっき(無電解めっき)など。装飾・耐食性・耐摩耗性に効果的です。
乾式法は物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)など。耐摩耗性、摺動特性、光学特性に効果を発揮します。塗布法はスプレー塗装、静電塗装、電着塗装、粉体塗装など。耐食性、耐摩耗性に優れています。
表面にほかの物質を載せることにより材料の保護を行う技術です。
機械的処理のショットピーニングは冷間加工の一種。無数の球状投射材を金属表面に対し高速で衝突させることによって表面改質を行います。 このため対象物の表面はくぼみで覆われた梨地模様となります。
ショットピーニングには、中・低速ショット、高速ショットなどがあり、耐疲労性、スケールの除去などの目的で活用されています。
熱処理、コーティング、機械式処理と3つの表面処理法を紹介しました。どの方法を選ぶかは、適用製品や部品との相性を考慮する必要があります。また使用環境や使用条件によっても効果が変わってくるので、さまざまな角度からどの方法を採用するかを検討することが大切なポイント。
部品との相性が良くても使用環境が悪ければ効果が半減してしまうことも。さらに不適切な表面処理を行ったために早期損傷してしまい、逆効果だった実例も見られます。
表面処理の特性を十分に活かすためには、個々の表面処理の特性を十分に知る必要があります。さらにそれぞれの方法についてのメリット・デメリットを確認したうえで適する表面処理法を選びましょう。