耐熱性
航空機部品(ジェットエンジン)などの耐熱性を高めるための技術とは
航空機部品、特にジェットエンジンは、高温の燃焼ガスにさらされるため、耐熱性の向上が必要不可欠。また航空機製造においては、機体メーカーやエンジンメーカーによって、プロセスを含めた要求仕様が厳格に定められているため、安定した品質の確保が求められています。そのような背景の中で、比較的短期間で試作・評価できる「溶射加工」が注目されており、世界各国における航空宇宙分野で幅広く使用されています。
航空機部品(ジェットエンジン)などの耐熱性を高めるための材料
耐熱性を高めるには、熱伝導性の低い溶射材料を用いて表面処理を施すことが重要です。耐熱材料として使用されるのは、金属系では耐熱鋼・耐熱合金・自溶性合金・MCrAlx合金など、非金属系ではセラミックやサーメットが挙げられます。セラミック溶射材料は種類も豊富で、アルミナ系・チタン系・酸化クロム系・ジルコニア系・イットリア(Y2O3)等を用途に合わせて選ぶことが可能です。
溶射加工による耐熱性の付与は、ステンレス・鋼(軟鋼含む)などの金属のほか、アルミや銅といった非金属、ガラスや木材などにも対応。使用する溶射方法によっては熱による歪みがほとんどなく、同時に耐食・耐摩耗・遮熱といった機能をプラスすることもできます。
航空機部品(ジェットエンジン)などの耐熱性を高めるための溶射の特徴
耐熱性を付与するための溶射加工においては、基材の使用環境・温度変化などを考慮して表面処理方法を選ぶ必要があります。基材へゆっくり熱がかかる場合はOKであっても、急激に熱が上昇する・下降するといった場合は基材に亀裂が入ったり、密着性が下がるといった問題が発生することもあるからです。その他の付加価値も総合的に考えて、適切な方法を選びましょう。
セラミック溶射
セラミックは熱伝導率が低いため、基材に耐熱性を持たせると同時に遮熱効果をプラスすることも可能となっています。使用するセラミック溶射材料は、アルミナ・酸化チタン・酸化クロム・ジルコニア・イットリア(Y2O3)など。また、アルミナ+酸化チタン、アルミナ+ジルコニア、ジルコニア+酸化マグネシウムといった合金を用いることもできます。使用する溶射方法は、フレーム溶射・プラズマ溶射・高速フレーム溶射が中心です。
超硬金属溶射
耐摩耗性を高める方法として用いられる超硬金属溶射ですが、耐熱性を付与する効果も期待できます。使用される溶射材料は、マンガン系・ニッケル系・コバルト系・クロム系・タングステン系など。耐熱性がとくに優れているのはタングステンカーバイド系の合金です。主にフレーム溶射・プラズマ溶射・高速フレーム溶射が用いられています。
自溶合金溶射
ニッケルやコバルト基を中心とした合金に、ニッケル・ボロン・ホウ素・ケイ素などの素材を加えたものが自溶合金です。自溶合金溶射による皮膜は、密着度が高く気孔が少ないことが特徴。硬化・耐摩耗性・耐食性のほか、耐熱性の付与にも適しており、ボイラー部品・各種ローラー・ポンプ部品などに幅広く利用されています。
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※1参照元:デジタルリサーチ「2013年版溶射市場の現状と展望」(2021年12月調査時点)
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