プラスチック溶射(plastic spraying)とは、ナイロン・ポリエチレン・エポキシなどの樹脂を材料にした溶射のことです。
1960年代後半からプラスチック溶射の研究や開発は行われてきましたが、材料の密着性が乏しかったり熱せられた樹脂材料が安定しなかったりで、長い期間進展がないままでした。しかし、1990年代に100℃以下でも融解し素材に密着できるプラスチック粉末が開発され、溶射装置も改良されたため、プラスチック溶射が用いられるようになりました。
プラスチック溶射で形成される皮膜は、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性などに優れています。比較的簡単に厚い皮膜を作ることが可能なのもメリットです。一方デメリットは主に3つあります。
プラスチック溶射は耐水性に優れ、酸やアルカリに強い効果があることから、汚水処理タンクの内面・海中ケーブル用中継器・電柱・水門などに使われています。ただし、コストが高いため、プラスチック溶射は今も一般的ではなく、用途は付加価値の高いものに限定されます。