アーク溶射
アーク溶射のプロセス
※引用元:日本コーティング工業HP(https://www.nipponcoating.co.jp/process/arc/)
アーク溶射は電気式溶射法の一つ。溶射材料である2本の金属線材(ワイヤー)の先端で直流アーク放電を発生させ、溶融した金属を圧縮空気で吹き飛ばす溶射法です。ガス式溶射に比べて溶射能力は高く、またコストも低い溶射方法です。
溶射材料は、線径 0.8~5.0mm(通常1.6mm)のワイヤを使用。電源には、三相交流200Vまたは220Vを直流に変換する定電圧、または幾分上昇特性の直流電源を用います。
アーク溶射は防錆・防食溶射で利用されることが多い溶射法。溶射材料は、線材に加工できる金属や合金であれば、全てアーク溶射が可能です。
アーク溶射の特徴
アーク溶射の特徴には以下のようなものがあります。
- ランニングコストを抑えられる。
- 溶射能力はガス式溶射の2倍以上。1時間当たり30~40kg分の金属を溶射出来る。
- フレーム溶射より密着強度・皮膜強度が高い。より重荷重の条件下にも適用可能。
- 溶射前後で材料の組成が変化することがある。溶融金属の温度が高いため、金属の酸化や窒化物が混入するため。
- 擬似合金の生成が起こる。種類の異なる2本のワイヤを用いることにより、材料の混合で擬合金化した皮膜が得られる。
アーク溶射の実施例
橋梁 (橋脚ケーシング)
引用元:トーカロHP(https://www.tocalo.co.jp/solution/field-building/)
大鳴門橋などの海洋構造物では、塩水による激しい腐食が予測される為、橋脚ケーシングなどの防錆目的で溶射が適用されています。防錆溶射を行うことにより、錆の発生から長期間保護され、減肉することなく長年使用することができます。
参照元:トーカロHP(https://www.tocalo.co.jp/applied/building/building_01.html)
ボイラ
引用元:トーカロHP(https://www.tocalo.co.jp/solution/field-energy/)
石炭火力発電所ボイラ設備等の高温環境においては、設備の磨耗減肉が激しく、設備の長寿命化が必要不可欠となります。耐摩耗溶射により、メンテナンス費用の低減、ボイラ設備の延命化による設備更新費用の削減が可能となります。
参照元:トーカロHP(https://www.tocalo.co.jp/applied/energy/energy_03.html)
スパッタリング装置部品
(半導体製造装置)
ウエハ上に回路材料となる酸化シリコンやアルミニウムの膜を作るスパッタリング装置の部品(オレンジ色部分)であるシールドやウエハを固定するウエハチャックに溶射が適用されています。
参照元:トーカロHP(https://www.tocalo.co.jp/applied/it/it_02.html)
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※1参照元:デジタルリサーチ「2013年版溶射市場の現状と展望」(2021年12月調査時点)
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